Meta新ルール:InstagramのAIトレーニング利用はデフォルト有効、拒否するには自分で設定変更が必要

Meta新ルール:InstagramのAIトレーニング利用はデフォルト有効、拒否するには自分で設定変更が必要

Metaは先日、新たにリリースした画像生成モデル「Muse」が、すべての公開Instagramアカウントの写真をデフォルトでAI画像のトレーニングおよび生成に使用すると発表した。つまり、InstagramアカウントをPublic(公開)に設定している場合、設定から自分でこの権限をオフにしない限り、自分の写真が他のユーザーのAI創作に使われる可能性がある。この方針は2026年7月8日に正式に施行され、世界中のSNSおよびプライバシー保護コミュニティで即座に大きな波紋を呼んだ。

いわゆる「オプトアウト」:ユーザーへの責任転嫁

Metaは公式ブログで、この措置は「AI創作のエコシステムを豊かにし、より多くの人が生成AIの楽しさを体験できるようにするため」と強調した。しかし批判者たちは、これは実質的にプライバシー保護の責任をプラットフォームからユーザーへ転嫁するものだと指摘する。欧州のGDPRが求める「オプトイン」原則とは異なり、Metaは「オプトアウト」方式を採用している。ユーザーは手動で設定ページを開き、「AIによる写真の使用を許可」というスイッチを見つけてオフにしなければ、自分のコンテンツがモデルのトレーニングに使われるのを防ぐことができない。数億人に上る一般ユーザーにとって、このプロセスは煩雑であり、かつ見つけにくい。

「デフォルト許可、オプトアウト方式」——このモデルはシリコンバレーでは目新しいものではない。2012年にはGoogleが、Gmailユーザーのデータを広告ターゲティングにデフォルトで使用していたとして訴訟を起こされた。今回MetaがAIトレーニングデータで同じ手法を繰り返しているのは、本質的にユーザーのデータ主権に対するさらなる侵食だ。

Museモデル:Metaの野望

MuseはMetaが内部開発した大規模画像生成モデルであり、テキストの説明に基づいて高品質な画像を生成したり、既存の画像に対してスタイル変換やオブジェクト置換などの操作を行うことを得意とする。OpenAIのDALL·E 3やStable Diffusionとは異なり、Museのトレーニングデータは主にMetaの自社ソーシャルプラットフォームであるInstagramとFacebookから収集されている。この垂直統合戦略により、Metaは競合他社のようにインターネットからクロールした公開データセットに頼ることなく、膨大な量のリアルなユーザー写真を迅速に取得できる。しかしその一方で、より深刻なプライバシー問題も浮き彫りになっている。ユーザーが写真をアップロードする目的は友人と日常を共有することであり、AIモデルの「えさ」を提供するためではない。

Metaの内部文書によると、Museのトレーニングには公開Instagramの投稿から10億枚以上の画像が使用されており、マルチモーダルアラインメントのために画像のテキスト説明、タグ、位置情報も活用されたという。Metaはすべてのデータに匿名化処理(顔の特徴の除去など)を施したと主張しているが、セキュリティ研究者はトレーニングデータに含まれる特定の顔を生成AIが意図せず「記憶」してしまう可能性があり、プライバシー漏洩リスクにつながると指摘している。

業界との比較:テック大手のデータ利用パターン

データトレーニングをめぐる論争を引き起こした企業はMetaが初めてではない。2023年にはAdobe Firewallが「ロイヤルティフリー」の素材ライブラリに含まれるユーザー作品をモデルのトレーニングに使用していたと指摘され、その後AdobeはクリエイターへのCompensation Fundを設けることを発表した。これに対してMetaの手法はさらに積極的だ。ユーザーがアップロードした写真を通知も補償もなく、会社の資産として直接扱っている。

OpenAIのGPT-4のトレーニングデータには大量の公開テキストが含まれているものの、個人のSNS上の画像を直接使用してはいない。GoogleのImagenのトレーニングデータは主に同社が保有する高品質な画像データセットから収集されており、ユーザーコンテンツの直接取得は避けている。一方Metaは「内部消化」という道を選んだ。ユーザーの写真が自社のサーバー上にあるのだから、使わない手はないというわけだ。

編集後記:AIの「学習」が「窃盗」になるとき

技術的な観点からは、公開データを使ったモデルトレーニング自体は違法ではない(少なくとも現在の米国法の枠組みでは)。しかしMetaの行為は、ある深層にある矛盾を露わにしている。ユーザーがSNSに抱く期待と、テック大手の商業的利益との間には大きな溝がある。Instagramのユーザーが写真をプラットフォームにアップロードする際、「サービスの改善」(例えばレコメンドアルゴリズム)にそのコンテンツが使用されることには暗黙的に同意している。だが、自分の写真が生成AIの原材料となり、さらには他のユーザーによるコラ画像の制作に使われることを想定していたユーザーはほとんどいないはずだ。

さらに懸念されるのは、「オプトアウト」方式の限界だ。Metaは設定内にこの選択肢を隠しており、多くのユーザーはその存在すら知らない。たとえ知っていたとしても、このオプションをオフにすることで防げるのは今後の写真の使用だけであり、すでにトレーニングに使われた過去のデータを取り消すことはできない。これは「デジタル忘れられる権利」の基本的な精神に真っ向から反するものだ。

自分を守るための実践ガイド

自分のInstagramの写真をMetaにAIトレーニングで使われたくない場合は、すぐに以下の手順を実行してほしい。Instagramアプリを開く → プロフィールをタップ → 設定に進む → 「プライバシー」を選択 → 「AIとデータ」を探す → 「AIのトレーニングに私の写真の使用を許可」をオフにする。このオプションは公開アカウントにのみ表示される点に注意。すでにアカウントを非公開に設定している場合は、デフォルトで使用されることはない。また、過去の写真を定期的に削除したり、一度限りの写真機能を活用することも検討してほしい。

本稿執筆時点で、Metaは過去のデータを削除できるかどうかという問いに対して未だ回答していない。欧州のユーザーはGDPRの保護のもと、「データ最小化」原則に基づいてプラットフォームに関連トレーニングデータの削除を要求できる。しかし米国およびアジアのユーザーは、この小さなスイッチに頼るしかないだろう。

本記事はWIREDより編訳