Winzheng Dynamic Contextual Decay(WDCD)ベンチマークは、マルチターン対話においてAIモデルがユーザーの命令をどの程度維持できるかを測定するものです。2026年7月8日に11モデルを対象に実施されたRun #221では、Round 1からRound 3にかけての平均命令遵守崩壊率が-36.4%に達し、トップクラスのシステムにおいても命令崩壊が依然として構造的な問題であることが改めて確認されました。
WDCDは評価を3ラウンドで構成しています。R1では初期命令の受理確認を検証し、R2では2,000〜5,000語の専門文書を注入した後の妨害耐性をテストし、R3では最終的な制約整合性チェックを実施します。採点はAIによる評価を一切用いない100%ルールベースで行われ、data_boundary、resource_limit、business_rule、security、およびengineeringの5つの実世界シナリオにわたる計30問が対象となります。
Run #221のトップ3ランキング:
- Grok 4 — 95点、崩壊率 -50%
- DeepSeek V4 Pro — 94点、崩壊率 -100%
- GLM-4.6 — 93.6点、崩壊率 -50%
このリーダーボードは重要な乖離を浮き彫りにしています。すなわち、総合スコアと崩壊耐性は必ずしも相関しないという点です。DeepSeek V4 Proは-100%の完全崩壊を記録しながらも総合2位にランクインしており、これはR1/R2での高い実行性能がR3での大幅な制約喪失を補った結果であることを示しています。いずれも-50%であったGrok 4とGLM-4.6は、マルチターンにわたってよりバランスの取れた命令維持を示しました。
今回のRun における注目すべき崩壊パターン:
- 最大崩壊:Claude Sonnet 4.6は-100%の崩壊率を記録し、崩壊軸ではDeepSeek V4 Proと並んだものの、ピークラウンドでの高いパフォーマンスによる補填はありませんでした。
- 最良の崩壊耐性:豆包 Pro(Doubao Pro)は-200%という崩壊率を記録しました。これは通常の意味での耐性ではなく、R2の妨害文書投入下で顕著な制約ドリフトが生じた外れ値プロファイルを示しており、このシグナルをシナリオの文脈で解釈するには生データを参照されることをお勧めします。
モデル横断の平均-36.4%という数値は、近年のWDCDサイクルを通じて繰り返し見られる知見を改めて裏付けています。すなわち、命令崩壊はモデルの規模や推論能力によって解消されるものではないということです。R2の妨害文書は引き続きR1で確立されたユーザーの制約を上書きし、R3の整合性チェックによってその残留ダメージが露呈します。シングルターン評価では堅牢に見えるモデルであっても、専門的な長さのコンテキストが導入されると、初期の命令遵守の多くの部分が失われることが多いのです。
data_boundary、resource_limit、business_rule、security、engineeringの各シナリオレベルの詳細な分析、および設問ごとのルールトレースは、生データセットで確認できます。
方法論: https://www.winzheng.com/yz-index/methodology
データAPI: https://www.winzheng.com/yz-index/api/v1/dcd
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