2026年7月9日、OpenAIはGPT-5.6シリーズモデルの正式提供開始を発表し、同時にChatGPT Workエージェントも公開した。同シリーズはSol・Terra・Lunaの3モデルで構成され、Solがフラッグシップ版、Terraが日常業務向けバランス版、Lunaが低コスト版となる。SolはArtificial Analysis Coding Agent Index v1.1で80点を獲得しClaude Fable 5を2.8点上回り、Agents' Last Examでは53.6点でClaude Fable 5を13.1点超えたが、SWE-Bench Proは64.6%でClaude Mythos 5に約15点差で後れを取った。
モデルの階層とアクセス権限
GPT-5.6シリーズは3段階の価格・アクセス設計を採用している。Solは入力100万トークンあたり5ドル・出力30ドル、Terraは入力2.5ドル・出力15ドル、Lunaは入力1ドル・出力6ドル。Plus・Businessユーザーは中程度以上の推論強度でSolを利用でき、Pro・EnterpriseユーザーはさらにSol Proオプションを利用できる。Free・GoユーザーはChatGPT Work経由でTerraにアクセスでき、有料ユーザーはChatGPT WorkとCodexで3モデルすべてを選択できる。
ChatGPT WorkにはCodexが内蔵されており、ウェブ・モバイル・デスクトップアプリをまたいだマルチステップタスクの実行をサポートする。バックグラウンドで独立して動作し、ローカルファイルや内蔵ブラウザを呼び出すことができる。プラグインシステムで外部アプリと連携し、Sites betaではインタラクティブなレポートやダッシュボードを生成できる。Programmatic Tool CallingはResponses API上でモデルが生成したJavaScriptコードを実行し、実行環境はネットワークアクセスのない隔離されたV8エンジンとなっている。
性能ベンチマークと実際の差異
公式ベンチマークによると、SolはTerminal-Bench 2.1で88.8%、DeepSWE v1.1で72.7%、BrowseCompで92.2%、OSWorld 2.0で62.6%を達成した。Claude Opus 4.8との比較では、SolはOSWorldで85%少ない出力トークンで上回る結果を出している。Agents' Last Examは55の専門分野をカバーしており、Solの53.6点はClaude Fable 5の40.5点を上回った。
マルチエージェント並列モードでは、ultra構成によりTerminal-Bench 2.1のスコアが88.8%から91.9%に向上する。プロンプトキャッシュは明示的なブレークポイントと最低30分のキャッシュ有効期間をサポートし、キャッシュ書き込みはモデル入力価格の1.25倍で課金され、読み取りには90%の割引が適用される。
開発者と企業への影響
開発者はResponses APIを通じてProgrammatic Tool CallingとマルチエージェントベータをAPIで直接呼び出せるため、追加デプロイなしで並列エージェント実行を実現できる。企業ユーザーはProおよびEnterpriseプランでSol Proとより高い推論強度を利用でき、コードレビュー・脅威モデリング・長期ワークフローに適している。Freeユーザーは引き続きGPT-5.5レベルにとどまり、GPT-5.6へのアクセスにはサブスクリプションが必要となる。
AnthropicのClaude Mythos 5およびClaude Fable 5と比較すると、GPT-5.6 Solはコーディングエージェント指数でリードする一方、SWE-Bench Proでは約15点差で後れを取っている。Claudeシリーズは一部の専門ワークフローベンチマークで依然として優位を保っており、OpenAIはトークン消費量とコスト面で差別化を図っている。
今後の観察ポイント
開発者はResponses APIの呼び出し成功率とキャッシュヒット率の推移を追跡できる。企業はSol Proの長期ワークフローにおけるトークン消費量とエラー率を観察するとよいだろう。
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