WDCD Run #316:Grok 4がマルチターン指示遵守ベンチマークで首位、Claude Sonnet 4.6は指示劣化耐性でトップ記録

Winzheng Dynamic Contextual Decay(WDCD)ベンチマークは、マルチターン対話においてAIモデルがユーザー指示へのコミットメントをどの程度維持できるかを測定するものである。2026年9月9日に11のフロンティアモデルを対象に実施されたRun #316では、Grok 4が93.8点で首位となり、GPT-o3(89.8点)、Claude Sonnet 4.6(87.2点)がそれに続いた。

上位3位のランキング:

  • Grok 4 — 93.8点(劣化率:-50%)
  • GPT-o3 — 89.8点(劣化率:-50%)
  • Claude Sonnet 4.6 — 87.2点(劣化率:-100%)

WDCDのスコアリングはAI審査員を一切使用しない完全なルールベース方式で行われる。各実行は、data_boundary(データ境界)、resource_limit(リソース制限)、business_rule(ビジネスルール)、security(セキュリティ)engineering(エンジニアリング)の5つの実世界シナリオにわたる30問で構成される。評価は3ラウンドで実施され、R1では初期指示の受諾確認、R2では2,000〜5,000語の専門文書を妨害素材として導入、R3では最終的な制約整合性チェックを行う。

劣化パターン。11モデル全体のラウンド1からラウンド3にかけての平均指示劣化率は0%であり、全体としては開始時と終了時のチェック間で指示遵守水準が維持されたことを示している。ただし、この集計値は個々のモデルレベルでの大きなばらつきを隠している点に注意が必要だ。Grok 4とGPT-o3はいずれも-50%の劣化を記録しており、絶対スコアは高水準を保ちながらも、対話の途中で意味のある指示逸脱が生じていたことを示す。Claude Sonnet 4.6は-100%という劣化率を記録しているものの、WDCDのスコアリング手法においては今回のRunで最も優れた劣化耐性プロファイルを示した。

最も劣化の大きかったモデル。Qwen3 Maxはコホート内で最も深刻な指示劣化率-100%を記録し、R2で妨害文書が導入された際に制約が最も侵食されやすいモデルであることが示された。

結果の解釈。WDCDは、シングルターンの指示遵守能力とは切り離してマルチターンのコミットメント持続性を測定するよう設計されている。R1スコアが高くR2〜R3で急激に低下するモデルは、制約を受け入れつつも文脈的負荷の下でそれを保持できないモデルといえる。逆に、3ラウンドを通じて指示劣化に耐性を示すモデルは、持続的な遵守能力を備えており、この特性はユーザールールが長い推論チェーンを経ても維持されなければならないエージェント型・長文脈デプロイメントにおいてますます重要となっている。

Run #316は、リーダーボードの総合順位と劣化耐性が独立した評価軸であることを示している。総合スコアではGrok 4が首位に立ち、劣化プロファイルの安定性においては上位層の中でClaude Sonnet 4.6が最高評価を得た。

方法論: https://www.winzheng.com/yz-index/methodology
データAPI: https://www.winzheng.com/yz-index/api/v1/dcd