PsiQuantumが光を使って巨大量子コンピュータを構築する壮大な計画

PsiQuantumが光を使って巨大量子コンピュータを構築する壮大な計画

量子コンピューティングの競争において、PsiQuantumという名のスタートアップ企業が、最も奇妙な素材——光——を使って世界を変えられるマシンを構築しようとしている。MIT Technology Reviewの報道によれば、このマシンはデータセンターとアイスクリーム工場を合わせたような外観の部屋に設置される予定だ。

この部屋には約100台のステンレス製ラックが並べられ、それぞれ高さ約2メートルで液体ヘリウム供給システムに接続される。これらのラック内部の温度は絶対零度をわずかに上回る水準に保たれ、光子チップと光学素子の安定した動作を確保する。光子自体はイオンや超伝導回路ほど熱的ノイズの影響を受けにくいが、PsiQuantumの設計は極めて精密な光路制御を必要とするため、極低温によって光学素子への熱雑音の影響を低減している。

光子方式の独自の優位性

現在の主流な量子コンピューティング技術には、超伝導回路、イオントラップ、トポロジカル量子ビットなどがある。PsiQuantumはより少数派だが大きな可能性を秘めたアプローチ——光子量子コンピューティング——を選択した。光子の優位性は、環境とほとんど相互作用しない点にあり、これによってデコヒーレンス時間が長くなる。また、光子間の相互作用はビームスプリッターや位相シフターといった線形光学素子によってシミュレートできる。さらに、光子量子コンピュータは理論上、一部のコンポーネントを室温で動作させることが可能であり、全体的な冷却負荷を軽減できる。

しかし、光子の相互作用は非常に弱く、2量子ビットゲート(量子論理ゲート)の構築を極めて困難にしている。PsiQuantumの解決策は、「量子コンピューティング用の単一光子源」と「高効率光子検出器」を使用し、複雑な干渉計ネットワークによって量子情報を符号化・操作することだ。同社のアーキテクチャは量子誤り訂正をネイティブでサポートしており、他のプラットフォームがスケールアップ時に直面する「誤り訂正オーバーヘッドの爆発」問題を回避できると主張している。

「私たちは普通の量子コンピュータを作っているのではなく、実際の問題を解決できる最初の耐障害性量子コンピュータを構築しているのです。」——PsiQuantum共同創業者兼CEOのJeremy O'Brienが公の場で述べた言葉。

データセンターとアイスクリーム工場の異色の融合

原文はこのコンピュータの外観をこう表現している。「The machine that could change the world will be housed in a room that looks like a data center crossed with an ice cream factory.」データセンターのような配列はモジュール式の拡張と障害の分離を容易にするためであり、「アイスクリーム工場」の比喩はシステムが大量の液体ヘリウムを必要とするためだ——アイスクリーム製造で使われる冷凍技術の原理に似ている(液体ヘリウムの温度はアイスクリームの冷凍よりはるかに低いが)。これらのラック内部には光子チップ、光ファイバー相互接続、光学遅延線、そして低温冷却システムが含まれる。

GoogleやIBMの超伝導量子コンピュータとは異なり、PsiQuantumのマシンはシステム全体をミリケルビンレベルまで冷却する希釈冷凍機を必要とせず、コアとなる光子チップを約4ケルビン(液体ヘリウムの沸点付近)まで冷却するだけでよい。この設計は消費電力とエンジニアリングの複雑さの面でより有利かもしれない。しかし代償として大規模なインフラが必要となる:各ラックには独立した液体ヘリウム循環システムと高精度光学アライメント装置が備わっていなければならない。

課題と業界への影響

PsiQuantumはマイクロソフトなどの大手からの投資を含む6億6000万ドル以上の資金を調達し、2020年から世界的に著名な国家級研究機関と協力してきたが、光子量子コンピューティングには依然として大きな障壁がある。まず、単一光子源の効率と純度が極めて高い水準に達する必要があり、次に光子検出器の量子効率がエラー率を下げるために100%に近くなければならない。さらに、大規模集積光学チップの製造歩留まりは現在、電子チップよりはるかに低い。

もしPsiQuantumが計画通り2026年頃までに100万量子ビットの耐障害性量子計算を実現できれば、それは量子コンピューティング分野における一大マイルストーンとなる。このマシンは薬物分子シミュレーション、材料設計、暗号解読など変革をもたらす分野に活用される可能性がある。ただし、多くの物理学者やコンピュータ科学者は慎重な見方をしており、光子方式が克服すべき技術的障壁はまだ高いと考えている。

特筆すべきは、この報道の発表時期が2026年7月に設定されており、先見的なレポートである可能性を示唆している点だ。実際、PsiQuantumは2021年にロードマップを公表し、2025年までに最初の商用量子コンピュータを完成させることを目標としていたが、具体的な進捗は現時点では公表されていない。

最終的に成功するかどうかにかかわらず、PsiQuantumの取り組みは量子コンピューティングの多様な発展における重要な方向性を示している。光で量子コンピュータを構築するというアイデアは、光で情報を伝える光ファイバー通信のように、初期は異端視されながらも最終的には主流になる可能性がある。

本稿はMIT Technology Reviewより編集・翻訳