Neko Health、7億ドルの資金調達——AIボディスキャンが米国市場へ進出

2026年7月16日、スウェーデンの医療テクノロジー企業Neko Healthは7億ドルのシリーズC資金調達の完了を発表した。同社はAI駆動の全身スキャン予防スクリーニングサービスを米国市場に展開する計画であり、第一号クリニックはニューヨークに開設される。今回のラウンドはシリコンバレーの大手ベンチャーキャピタルLightspeed Venture Partnersがリード投資家を務め、O.G. Venture Partnersが共同リード投資家として参加し、既存投資家もフォローオン出資を行った。この資金調達は今年の欧州医療AI分野における最大規模の案件であり、予防的医療テクノロジーが世界規模で資本の熱狂を迎えていることを示している。

AIボディスキャンはどのように機能するか?

Neko Healthの予防スクリーニングサービスは、従来の単一検査とは異なる。ユーザーがクリニックを訪れると、高精度医療画像(MRI・CT・超音波など)、包括的な血液検査、同社が独自開発した専用センサー(心電図・呼吸・体温などの生理パラメータをリアルタイムでモニタリング)、そして最終的な臨床医による総合レビューと報告書の説明という一連の総合評価プロセスを受ける。全行程は約45分から1時間で完了し、早期がん・心血管疾患・代謝異常など数十種類の潜在的リスクを発見できるほか、個別化された健康アドバイスも提供される。

同社のコア技術は、大量の画像データおよび生理データをAIアルゴリズムがインテリジェントに解析する点にある。従来の放射線科医がMRI画像1枚を読影するには15分程度かかるが、NekoのAIシステムは数秒で初期スクリーニングを完了し、異常領域を特定することで、医師が注目すべき重点箇所を70%以上削減できる。これによりスクリーニング効率が大幅に向上し、見落としリスクも低減される。同社CEOで共同創業者は「私たちの目標は、誰もが手頃な価格で年に一度の包括的な健康診断を受けられるようにし、真の意味での『早期発見・早期介入』を実現することだ」と述べた。

市場背景と競争環境

予防的医療は世界の医療体制における重点領域となりつつある。業界レポートによれば、2025年の世界予防的医療市場規模はすでに4,500億ドルを超えており、中でもAI駆動のスクリーニング技術の成長が最も急速だ。米国では、従来の年次健康診断の問題点として、時間がかかる・費用が高い・検出率が低いといった点が挙げられる。Neko Healthはこの空白に目を向け、500〜1,000ドルの全身スキャンパッケージを提供している。これは病院で各検査を個別に受けた場合の合計(通常3,000ドル超)を大きく下回り、オンライン予約・当日レポート発行にも対応している。

ただし、このセグメントに競合がいないわけではない。米国内にはすでにButterfly Network(ハンドヘルド超音波+AI)・Viz.ai(AI画像診断)・Zebra Medical Visionなどの企業が存在する。しかしNekoの差別化ポイントは「ワンストップ・フルフロー」体験にある。ユーザーは異なる診療科を訪れる必要がなく、一つのクリニック内ですべての検査を完結できる。さらにNekoは複数の大手保険会社と交渉を進めており、サービスを雇用主の健康福利厚生プランに組み込むことで、ユーザーへのリーチをさらに拡大する計画だ。

編集部注:Neko Healthの大型資金調達は、「AI+予防医学」というビジネスモデルへの資本市場の評価を反映している。ただし注目すべき点として、米国FDAによる医療AIの規制は年々厳格化しており、特に診断判断に関わるアルゴリズムには510(k)またはDe Novo承認が必要となる。NekoのAIシステムがFDA承認を取得しているかどうかについて、同社の声明では明示されていない。また、高感度イメージングは「過剰診断」リスクをもたらす可能性がある——すなわち臨床的に意義のない異常が発見され、不必要な不安やその後の検査につながる恐れがある。これは両刃の剣であり、ユーザーと医療体制の双方が理性的に向き合う必要がある。

今後の計画と課題

Neko Healthは2027年末までに米国内で少なくとも30店舗の直営クリニックを開設し、チェーン薬局(CVS・Walgreensなど)との連携による「ミニスキャンステーション」の設置も検討している。また、調達資金の一部をAIモデルのさらなる学習に充て、希少疾患の識別能力を高めるとともに、大規模な健康データベースを構築してプレシジョンメディシン研究を推進する方針だ。

しかし課題も深刻だ。まずデータのプライバシーとセキュリティの問題がある。スキャンによって生成される画像データと生体データは極めてセンシティブであり、同社はHIPAA(米国医療保険の相互運用性と説明責任に関する法律)およびEUのGDPR(一般データ保護規則)などの規制を遵守しなければならない。次にビジネスの持続可能性の問題がある。1回あたりのスクリーニングの粗利益率は高くなく、規模化した運営とリピート利用によってのみ収益化が可能だ。最後に医師の信頼性の問題がある。多くの臨床医はAIの「ブラックボックス」診断に慎重な姿勢を持っており、同社は十分な説明可能性と臨床検証データを提供する必要がある。

総じて見れば、Neko Healthの今回の資金調達はAI予防スクリーニング業界に強力な後押しをもたらした。米国市場での検証が成功すれば、同社は世界の予防的医療分野における標準的企業となる可能性が高い。しかし医療は時間のかかる業界であり、技術と規制のマラソンはまだ始まったばかりだ。

本記事はAI Newsより編訳