米国データセンター論争:責任を中国に押し付けるな

米国データセンター論争:責任を中国に押し付けるな

反データセンター感情の背景:誰が煽っているのか?

2025年初頭、バージニア州で建設が計画されたデータセンタープロジェクトが地元住民の強い反発に遭った。理由は騒音公害、過大な電力需要、景観への悪影響などだ。同様の抗議活動はオハイオからアリゾナまで全米各地で勃発し、地域コミュニティの組織がテック大手の拡張に相次いで異議を唱えている。しかし、一部の共和党議員とテック投資家はこの動きの原因を中国に求め始めた。上院議員トム・コットン(Tom Cotton)は公聴会で「中国はソーシャルエンジニアリングの手法を通じて、米国人のデータセンターへの敵意を醸成しようとしている」と主張。OpenAIのCEOサム・アルトマン(Sam Altman)も非公開の会合で、反データセンター運動は「外国による協調の可能性がある」と示唆した。

専門家が解説:地元の矛盾こそが主因

スタンフォード大学のエネルギー政策研究者ルーシー・チェン博士(Dr. Lucy Chen)はWIREDに対し、「それは都合のいい物語に聞こえるが、データはそれを裏付けていない。米国のコミュニティによるデータセンターへの抗議は少なくとも2019年から高まっており、当時は米中関係がまだ完全には悪化していなかった」と語った。同氏は、抗議の核心は実際の生活問題にあると指摘する。データセンターは膨大な電力を消費し(単一の超大規模施設の年間消費電力量は数万世帯分に相当する)、地域の電力網に圧力をかける。また工業用地を占有して不動産価格を押し上げるほか、ディーゼル非常用発電機や冷却塔の騒音も引き金となっている。

「責任を中国に押し付けるのは、国内のガバナンスの失敗から目を逸らすための近道だ。」——ワシントンD.C.公共利益研究センター、アナリスト マーク・ウィリアムズ

実際、民主党が支配するカリフォルニア州やニューヨーク州でも同様の抗議が起きており、この感情が党派を超えていることを示している。例えば2024年にカリフォルニア州サンノゼのデータセンタープロジェクトは水資源の消費をめぐって環境保護団体から提訴されたが、中国に言及した者は誰もいなかった。

編集後記:テック大手による争点のすり替え

注目すべきは、OpenAIやGoogleなどの企業が近年、データセンターの立地規制の緩和を連邦政府に働きかけてきたことだ。地元住民がより厳格な環境影響評価を求める際、反対の声を「外国の干渉」とレッテルを貼ることで、問題を迅速に政治化し、草の根運動の正当性を損なうことができる。しかしこの戦略は逆効果になりかねない。コミュニティの真の訴えが無視され、最終的には政策の遅延やさらに激しい対立を招くことになるからだ。

米エネルギー情報局(EIA)のデータによれば、データセンターの電力消費量が全米の総電力消費量に占める割合は、2024年の2.5%から2030年には7%に上昇すると予測されている。矛盾を根本的に解決するには、再生可能エネルギーの割当、コミュニティへの利益還元の仕組み、透明性のある立地プロセスなど、多方面での対話が必要だ。これらの複雑な問題を「中国の陰謀」に単純化することは、業界が改善する機会を失わせるだけだ。

(本記事はWIREDより編訳)