ソニーとUMGがSuno v6を再提訴——ライセンス取得でも過去の侵害チェーンは断ち切れず

2026年9月18日、ソニー・ミュージックエンタテインメントとユニバーサル ミュージック グループは、マサチューセッツ連邦地区裁判所に45ページの訴状を提出し、Suno v6モデルが60,202件の録音物に対する著作権侵害を構成すると主張した。

事実の整理

今回の訴訟は、2024年6月の第一次提訴の継続にあたる。訴状によれば、Suno v6はワーナー・ミュージック、BMG、Believeとライセンス契約を締結したものの、新モデルの一部は以前の未許諾モデルの出力結果を用いて学習されているという。ユニバーサル ミュージックとソニー・ミュージックは、この手法が過去の侵害データを「洗浄」するものに相当し、著作権保護された録音物の継続的な利用を構成すると主張している。訴状は60,202件の録音物を明示的に列挙し、侵害の確認、法定損害賠償および弁護士費用の支払いを裁判所に求めている。

訴状の内容によると、Sunoは新モデルの学習に先行モデルの出力を使用したことを認めている。これを根拠に、ユニバーサル ミュージックとソニー・ミュージックは、各世代のモデルが無許諾の複製行為に由来しており、v6は完全に新たな出発点ではないと主張している。

法的メカニズムの分析

訴状の核心的な論理は「毒樹の果実」理論にある。すなわち、新モデルが一部の著作権者からライセンスを取得していたとしても、学習データが先行する侵害モデルの出力に由来する場合、元の侵害チェーンは継続されるという主張だ。ユニバーサル ミュージックとソニー・ミュージックは、Sunoが初期モデルによって生成された未許諾の複製物を保持・利用し続けた結果、すべてのバージョンのモデルが侵害録音物と直接的な関連を持つに至ったと指摘している。

このメカニズムは、生成AIの学習データにおけるコンプライアンス上の盲点を浮き彫りにしている。新バージョンのみをライセンス対応にしても、過去の学習過程における侵害の痕跡が自動的に消去されるわけではない。訴状はまた、Sunoが以前に公開ソースからデータをクロールしていた行為が、2024年の訴訟においてすでに問題視されていた点を強調している。

産業への影響

本訴訟はAI音楽生成業界のライセンス戦略に直接的な影響を及ぼす。ワーナー・ミュージック、BMG、BelieveはすでにSunoと協力してv6をリリースしているが、ユニバーサル ミュージックとソニー・ミュージックは参加しておらず、AI協力をめぐるレコード会社間の温度差が鮮明になっている。訴状によれば、Sunoの従来のライセンス契約は市場における著作権コンテンツの許諾ニーズを認めたものと見なされてきたが、過去のデータに関する問題は解決されていないという。

同様の訴訟はRound Hill MusicおよびJason Isbellが起こした案件など他の当事者にも拡大している。ユニバーサル ミュージックは近年、AnthropicおよびDistroKidに対しても法的措置を講じており、AI生成コンテンツに対する同社の包括的な監視姿勢を示している。

戦略的考察(分析)

現在判明している事実から見ると、新モデルへのライセンス付与だけでは過去の侵害チェーンを完全に断ち切ることは難しく、AI企業が学習データの出所に関するコンプライアンスを改めて評価せざるを得なくなる可能性がある。裁判所が「毒樹の果実」の主張を採用した場合、業界は初期モデルのより徹底した隔離または再学習を迫られる可能性があり、コンプライアンスコストの増大と著作権者との交渉構造の変化をもたらすことになる。

本件は、生成コンテンツ領域における部分的なライセンス契約の限界を浮き彫りにしている。利害関係者は、既存モデルへの継続的な支持とデータパイプラインの全面的な再構築との得失を慎重に検討する必要がある。過去の先例が示すように、類似の侵害チェーン問題はしばしば長期的な訴訟と規制当局の注目を招いてきた。