編集注:人類は月への帰還を準備しており、今回は旗を立て、石を拾い、写真を撮るだけでは終わらない。しかし月について深く知れば知るほど、不安な事実が浮かび上がってくる——月は私たちが夢見る「第二の故郷」とはほど遠く、頭上に浮かぶ煉獄に近い。
第二次宇宙開発競争へようこそ
デジャヴを感じても無理はない。前回はソ連とアメリカが先に旗を立てようと競い合い、今回は主役がアメリカと中国に替わり、立場の異なるパートナーやライバルが入り乱れる。目標は依然として月面だが、競争の中身は「誰が先に到達するか」から「誰が居続けられるか」へと変わった。
アメリカ主導の「アルテミス計画」は月の南極付近に持続的な拠点を築こうとしており、中国は2030年以前の有人月面着陸と国際月面科学研究ステーションの建設を明確に打ち出している。インド、日本、欧州、韓国、そして多数の民間宇宙企業もそれぞれの役割を担う。これは短距離走ではなく、数十年にわたる持久戦だ。
月は緩衝のない世界
月には大気がなく、ほぼあらゆる保護機能が欠如している。微小隕石は秒速数十キロメートルで月面に叩きつけられ、大気中で燃え尽きることがない。太陽からの高エネルギー粒子と銀河宇宙線が直接降り注ぎ、表面の放射線量は地球表面の数百倍に達する。宇航員が長期滞在するには、厚い遮蔽材に頼るか、居住施設を月壌の下に埋める必要がある。
温度差も過酷だ。月の昼間は約127℃まで上昇し、夜間はマイナス173℃まで急降下する。昼夜それぞれが約14地球日続く。あらゆる機器がこの極端なサイクルに繰り返しさらされる。
月は開墾を待つ荒地ではなく、岩を砕き続ける機械であり、放射線源であり、温度差の試験台だ。
さらに厄介なのが月塵だ。風化で丸みを帯びたことのない、微細で鋭利なガラス質の粒子から成り、極めて細かい砕いたガラスに等しい。シールを摩耗させ、バルブを詰まらせ、バイザーを傷つけ、肺に吸い込まれて長期間留まる。アポロの宇航員たちは帰還後、「月の花粉症」——くしゃみ、鼻づまり、流涙——を広く報告した。
火星は地獄、月も優しくない
では火星へ行けばいい、という声もある。しかし火星も地獄であり、ただ死に方が違うだけだ。火星には薄い大気があり、空力減速や酸素・推進剤の生成に利用できる。重力は地球の約3分の1で、骨や筋肉への負担が少ない可能性がある。表面には水の氷と豊富な鉱物資源が存在し、ミッションの性質も「立ち寄り」ではなく「定住」に近い。
しかし代償は長い旅だ。片道6〜9ヶ月、通信遅延は最大20分、緊急時にほぼ迅速な帰還は不可能だ。一方、月までは3日の旅程で、リスクを管理しやすく、迅速な改善も可能であり、深宇宙技術の試験場として最適だ。
つまり月は火星への通過点だが、それ自体は火星よりさほど楽ではない。真の違いは、月でミスを犯しても、地球に帰れる可能性がまだ残っていることだ。
アポロが残した警告
アポロ計画が人類を月面に滞在させた最長期間は3日に過ぎない。現在の計画は数ヶ月、あるいは数年の駐在を想定している。既存の健康データは楽観を許さない——骨密度の低下、筋肉の萎縮、体液の再分布による視力障害、免疫系の変化、心理的ストレス。放射線は長期滞在の核心的課題であり、がんや神経変性疾患のリスクを高める可能性がある。
資源、ルール、次の争奪戦
争奪の焦点のひとつが月の南極だ。そこには永久影の領域が存在し、大量の水の氷が眠っている可能性がある。水は飲料水になり、電気分解で水素と酸素の燃料を生成でき、月面経済の礎となる。ヘリウム3、レアアース、金属も頻繁に言及されるが、予見可能な将来における商業的価値は依然として高度に不確かだ。
ルール面も混乱している。「宇宙条約」はいかなる国も月の主権を主張することを禁じているが、資源開発や区域設定については明確な答えを与えていない。アメリカが推進する「アルテミス協定」と中ロ主導の国際月面科学研究ステーション構想は、二つの並行する規範体系を形成しつつある。南極で先に「作業区域」を確保した側が、事実上ルールを定義する力を持つかもしれない。
まとめ
第二次宇宙開発競争の真の勝敗は、誰の旗が先に月面に立つかではなく、誰があの環境で安全に生き延びられるかにかかっている。火星は地獄、月もそう変わらない——しかしだからこそ、人類が多惑星種族になれるかどうかを試す最初の関門なのだ。
本稿はMIT Technology Reviewより編訳
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