AI自動化スタートアップのRelayが閉鎖、チームはGoogle Chromeチームに合流

AI自動化スタートアップのRelayが閉鎖、チームはGoogle Chromeチームに合流

現地時間8月18日、AI自動化スタートアップのRelayは正式に運営終了を発表し、コアチームのメンバーはGoogle Chromeブラウザチームに合流する。この情報はRelayの創業者兼CEOであるJacob Bankが公式声明で確認したものだ。同氏は、チームがここ数年ブラウザにおけるAI自動化技術の研究に取り組んできたこと、そして今後はその蓄積をChromeのAI機能開発に活かしていくと述べた。

Relay:ブラウザにおけるAIエージェントの実現

Relayの運営期間は短かったものの、AI自動化分野で注目を集めた存在だった。従来のブラウザ拡張機能やマクロツールとは異なり、Relayは大規模言語モデルを活用して「AIエージェント」を駆動し、コンピューターが人間のようにウェブページの内容を理解し、ページ要素を操作し、複数サイトにまたがる複雑なタスクを実行することを目指していた。たとえば、ユーザーが目標を指示するだけで、AIが自動的にフライトを検索し、価格を比較し、予約情報を入力し、さらには旅程の整理まで行うことができる。

同社は業界内で多くの議論を呼んだが、独立したビジネスモデルを確立するには至らなかった。競争が激化するAI分野では、スタートアップはしばしば「大手に吸収されるか、急速に消えるか」という生存プレッシャーに直面する。Relayの閉鎖は、こうした傾向のまた一つの事例となった。

Jacob Bank:ChromeにおけるAIの「野心的な」計画

Jacob Bankは声明の中で次のように述べた。「私たちはAIがユーザーのデジタル生活において真に機能できるよう取り組んできた。深く熟考した結果、Google Chromeチームと協力することが、このビジョンを実現するための最速かつ最善の道であると判断した。」同氏はチーム全員がChromeの組み込みAI機能の開発に参加すると特に強調した。

「ChromeのAIを通じて、より素早く仕事を完了できるよう支援する非常に野心的な計画がある。詳細はすぐにお伝えする。」——Jacob Bank

この発言からすると、Googleはサイドバーのチャットやテキスト要約にとどまらず、Chromeに「タスクを実行できる」生成AI機能を搭載することを検討している可能性が高い。実現すれば、ユーザーは自然言語による指示でブラウザに「用事を代行」させることができるようになる。

なぜGoogleはRelayを必要としたのか?

Chromeは現在世界最大のユーザー数を誇るブラウザだが、近年はMicrosoft EdgeやArcなど競合製品からの圧力も感じている。EdgeにはCopilotが内蔵されており、読み取り・執筆・検索のサポートが可能で、Arcは「ブラウザをワークスペースとして」というコンセプトで早期ユーザーを獲得してきた。

Googleはこれまでも「タブの提案」やAIによるウェブページ要約など、いくつかのAI機能をChromeに順次追加してきた。しかしこれらの機能の多くは「受動的なアシスト」にとどまり、ユーザーは依然として複数の手順を手動で行う必要がある。真のAIエージェントは次の一手として注目されており、ブラウザが自律的にページを認識し、目標を推論して操作を実行することが期待されている。Relayチームはまさにこの分野における技術的素地と実装経験を持っていた。

人材買収の背景にある業界論理

Relayの閉鎖は「消滅」ではなく、むしろ「統合」に近い。大手テック企業は人材買収(acqui-hire)によって優秀なチームを取り込み、独立したスタートアップが早期に消えてしまうことを防ぎながら、自社の技術基盤に新鮮な血を注ぎ込む。2025年以降、AI分野では同様の事例が相次いでいる。小規模ながら高い能力を持つ複数のエージェントチームがOpenAIやAnthropicといった企業に吸収され、製品の最先端機能の強化に活かされている。

特筆すべきは、GoogleがBardからGeminiへのアップグレード、そしてAndroidやWorkspaceとの深い連携に至るまで、AI資源の統合を全力で進めていることだ。このタイミングでAI自動化チームをChromeに配置することは、GoogleがブラウザをAIエージェントの中核的な入り口として位置づけようとしていることを示しており、単なる「ウェブページビューア」にとどめるつもりはないということだ。

編集後記:AI自動化の「終着点」はエンジンである

Relayの事例は一つの現実を映し出している。大手によるAIエコシステムの争いにおいて、独立した自動化ツールが自らの領域を守ることは極めて困難だ。AI系スタートアップが「消えた」というよりも、より大きな技術エンジンに別の形で組み込まれていっていると言う方が適切だろう。ユーザーにとって最も直接的な変化は、今後数カ月から一年以内に現れるかもしれない——Chromeはますます「あなたを理解」し、あなたの代わりに「用事を済ませて」くれる存在になるかもしれない。

もちろん、AIにブラウザ操作を委ねることは、セキュリティやプライバシーへの懸念も生じさせる。悪意のあるウェブページにエージェントが誘導されないようにするにはどうすればよいか。Googleは信頼できる答えを示す必要がある。いずれにしても、ChromeにおけるAI革命は、まだ幕を開けたばかりだ。

本稿はTechCrunchより編訳。