MiniMax M3.1 Flash が「Space Bunny」の正体を公開:潜伏中に200兆トークンを処理、エージェントテストで中国首位

2026年10月19日、MiniMaxはM3.1 Flashを正式に発表するとともに、以前「Space Bunny(宇宙ウサギ)」として匿名で稼働していたモデルが同製品の初期バージョンであることを公式ブログで明らかにした。Space Bunnyは匿名状態で合計200兆トークン超を処理し、そのうちOpenRouter単一プラットフォームだけで56.7兆トークンを処理、同プラットフォームの使用量ランキングで10日連続首位を記録した。推論速度が約3倍向上、総合使用コストが70%削減、OSWorld V2スコア61.7で中国モデル首位——これがM3.1 Flash発表時に提示された3つの核心数値である。

MiniMaxが先に匿名で稼働させてから正式発表するという手法を選んだ背景として、OpenRouterはマルチモデルの中間レイヤープラットフォームとして多数の実際の開発者呼び出しを集約しており、カバーするシナリオが広くトークン消費も密度が高いため、本番環境に近い自然なテストベッドとして機能する点が挙げられる。「Space Bunny」として匿名で稼働することでブランドによる干渉を排除し、実際の使用データを収集できる。初期バージョンと比較して、最初のトークンまでの遅延は1.95秒から1.22秒に短縮(38%改善)、スループットは毎秒70トークンから100トークンに向上(45%向上)した。正式発表時、MiniMaxはピーク出力速度が200 TPS超、P50中央値速度が170 TPS以上で安定していると主張した。Artificial Analysisの実測データは116.2 TPSであり、151の測定対象モデル中78位となっている。

価格設定の論理:どこが安く、どれだけ安いのか

M3.1 Flashの価格は、入力0.15ドル/100万トークン、出力0.60ドル/100万トークン、キャッシュ読み取り0.015ドル/100万トークンに設定されている。現在の主流モデル市場の中央値価格は入力0.24ドル、出力0.87ドルである。MiniMaxが強調する70%のコスト削減は「エージェント系タスクの総合使用コスト」を対象としたものだ。エージェントシナリオではキャッシュ入力への依存度が高く、かつ同一目標を達成するために必要な総トークン数も減少するため、この2つの要因が重なってコスト差が生まれる。

中国国内の価格は入力1元/100万トークン、出力4元/100万トークンである。中国区とドル区では価格体系が異なるため、開発者は実際のAPI利用地域の料金で計算する必要がある。

能力構造:どこが強く、数値は何を示すか

MiniMaxは6項目のベンチマーク結果を公表している。OSWorld V2スコアは61.7で中国モデル首位。BankerToolBenchスコアは76.2。DeepSWE v1.1スコアは73.7%。CyberGymスコアは82%。Agents' Last Exam(ALE)スコアは29.6。AutomationBench-AAスコアは72.5%。

Artificial AnalysisはM3.1 Flashを173の測定対象モデル中4位に位置づけ、インテリジェンス指数スコアは43(測定対象モデルの中央値は13)となっている。M3.1 Flashのモデルウェイトは現時点では公開されておらず、MiniMaxは「後日」公開すると約束しているが具体的な日程は示していない。すべての呼び出しはMiniMax API、MPlan、またはMiniMax Codeのクラウド経由でのアクセスが必要となる。

中国モデルの「低価格でベンチマーク上位」が体系化

過去2年間、DeepSeekはOpenAIを大幅に下回る価格で高性能モデルを発表し、世界的なAI価格の再評価を引き起こした。M3.1 Flashの高得点はエージェントタスク、ツール呼び出し、コンピュータ操作のカテゴリーに集中しており、汎用的な言語能力全般をカバーするものではない。MiniMaxはM3.1 Flashを「効率と能力のバランス」をコンセプトとするFlashシリーズ製品と位置づけており、「知能の上限を追求する」Proバージョンを後日発表すると予告している。

開発者・企業の選定に向けた実践的アドバイス

M3.1 Flashは3種類のシナリオで参考価値がある。マルチステップのエージェントアプリケーションを開発する開発者はOSWorld V2とBankerToolBenchのスコアとキャッシュ価格の組み合わせを検証できる。コーディング支援やコードレビューのニーズを持つエンジニアチームはDeepSWE v1.1の73.7%というスコアに注目できる。プライベートデプロイが必要なシナリオではウェイトの公開を待つ必要がある。

利用前に確認すべき点が3つある。公式が標榜する200+ TPSとArtificial Analysisの実測値116.2 TPSには差異があり、遅延に敏感なアプリケーションは自社での負荷テストを実施すべきである。70%のコスト削減はエージェントシナリオの総合計算に基づいており、単純なバッチ処理や非キャッシュシナリオでの実際のコスト優位性はこの数値を下回る。中国区とドル区では価格が異なるため、呼び出し地域ごとに別々に計算する必要がある。

製品サイクルの観点からは、MiniMaxが予告するProバージョンが技術路線の持続可能性を検証する重要なマイルストーンとなる。Proバージョンが汎用推論においてトップモデルと正面から競合できるなら、Flash/Proの二本立て戦略は戦略的な完結性を持つ。しかしProバージョンが長期間遅延するか、特定の垂直分野でのみ優位に立つにとどまるならば、M3.1 Flashの発表は価格主導の市場アクションに過ぎないことになる。ウェイト公開のタイミングはもう一つのシグナルでもある。公開が早ければ早いほど、MiniMaxが自社の競争優位をエコシステムにおける地位獲得に重点を置いていることを示し、クラウドクローズドソース状態が長期化すれば、そのビジネスモデルは依然としてAPIサービスの参入障壁に依存していることになる。