上海ロボットカーニバル:ヒューマノイドロボットが日常生活へ猛進

上海ロボットカーニバル:ヒューマノイドロボットが日常生活へ猛進

8月の上海で「ロボットカーニバル」が開催された。会場では十数台のヒューマノイドロボットが手を振り、水を手渡し、太極拳を披露した。観客たちはスマートフォンを掲げ、まるでスターに会ったかのように熱狂した。

これらのロボットはおもちゃではない。過去1年、ショッピングモール、レストラン、工場へと送り出され、新たな生産性ツールとして活躍している。主催者によれば、上海だけで今年すでに複数回の開催があり、毎回満員になっているという。

なぜヒューマノイドロボットが中国で爆発的に普及しているのか?

答えは国家戦略にある。中国の最新の五カ年計画では、「エンボディド・インテリジェンス(具身知能)」がAI発展の重要方向として掲げられている。簡単に言えば、AIに物理的な身体を与え、世界を感知・変革できるようにすることだ。ヒューマノイドロボットはその最も直感的な担い手である。

政策が産業ブームを呼び込んだ。過去2年間で中国には多数のロボットスタートアップが誕生し、家電・自動車・インターネットの大手企業も次々と参入している。業界資料によれば、世界のヒューマノイドロボット関連企業の約9割が中国市場と何らかの関わりを持つとされる。

「ヒューマノイドロボットをめぐる競争は、本質的にAI能力とハードウェアサプライチェーンの二重の競争だ」とあるエンジニアは語った。「中国はその両面で急速に優位性を積み上げている。」

ロボットの多彩な芸当

カーニバル会場では、コーヒーの運搬、会話の相手、バク転など、ロボットのさまざまなスキルを目の当たりにした。動作はまだぎこちなく、会話もときどき詰まるものの、「ロボットが生活に溶け込む」という感覚はかつてないほどリアルだった。

こうしたロボットを支えているのは、中国製造業が長年蓄積してきた底力だ。サーボモーターから視覚センサーまで、ほぼすべての部品を国内で調達でき、コストは大幅に低下した。かつて数百万ドルかかっていたヒューマノイドロボットが、今では数万ドルで製造できる。

ある教授は、研究室から市場へと踏み出す過程で中央・地方両政府の政策支援を受けたと語った。「以前は論文を書いていたが、今はビジネスとして回す必要がある。」この言葉は時代を象徴している。

熱狂と冷静

狂騒の裏には冷静な声もある。関連銘柄は急騰しているが、「一家に一台」の時代はまだ遠い。知能化、バッテリー持続時間、運動制御はいずれも未成熟で、大規模な商業化はまだ訪れていない。ある投資家はこう言った。「見栄えのよいプレゼン資料のプロジェクトは多いが、キラーアプリがない。」

倫理的な問題もある。ロボットがより人間に近づくにつれ、プライバシーや責任の所在はどうなるのか。エンジニアたちは、技術が加速する一方で、ロボットに関する「法律と規制の整備」が不可欠だと警告する。

編集後記

中国でヒューマノイドロボットが熱狂的に受け入れられているのは、戦略的な推進力と市場心理の両方によるものだ。五カ年計画から展示会の現場まで、「エンボディド・インテリジェンス」の波がAIに対する人々の認識を塗り替えつつある。これは中国がテクノロジーの最前線に踏み出したことを示しているが、より重要なのはロボットが本当に一般家庭に浸透できるかどうかだ。

会場を後にするとき、振り返ってロボットたちを眺めた。まだ不器用ではあるが、進歩は目に見えて明らかだ。あと5年もすれば、彼らは私たちの日常生活に姿を現すかもしれない。

本記事はMIT Technology Reviewより編訳