人工知能の波が世界を席巻する中、データセンターの建設ラッシュが続いているが、予想外のボトルネックが浮上しつつある。それが電力供給だ。送電網への接続や新型ガスタービンの入手に数年単位の待機時間が生じているため、データセンター建設事業者はかつて廃棄されていた旧ジェットエンジンという、異例で非効率かつ環境負荷の高い解決策に頼らざるを得ない状況に追い込まれている。
電力のボトルネック:待てない送電網接続
業界レポートによると、北米および欧州の一部地域では、データセンターが送電網に新規電力容量を申請する際の待機時間が、かつての数カ月から3〜5年、あるいはそれ以上にまで延びている。同時に、ガスタービンなどの主要発電設備の受注も数年先まで埋まっている。AI覇権争いに血眼になるテクノロジー大手にとって、このような待機はとうてい受け入れられるものではない。電力は今や、AI算力拡大を制約する決定的な要因となっている。
異例の解決策:退役ジェットエンジンが第二の人生を歩む
差し迫った電力需要を前に、一部のデータセンター運営事業者は航空業界の「退役ベテラン」、すなわち旧ジェットエンジンに目を向け始めた。これらのエンジンは飛行時間の上限に達して退役した後、通常は解体されるか放置されていた。現在は地上用発電ユニットに改造され、データセンターへの直接電力供給に活用されている。この手法自体は目新しいものではないが(航空エンジンを転用したガスタービン発電の前例はある)、現在の電力不足という状況下では、迅速に導入できるという利点が一層際立っている。
「かつて廃棄されていたジェットエンジンが、今やデータセンターの緊急電源となっている。」——これはSFではなく、現在進行形の現実だ。
迅速展開の裏に潜むコスト
しかし、この解決策にはコストが伴う。最新のコンバインドサイクル型ガスタービンと比べると、航空エンジンを改造した発電ユニットは効率が明らかに劣り、燃料消費量も多く、炭素排出量も高い。さらに、ジェットエンジンの騒音レベルは通常の発電設備をはるかに上回るため、追加の防音対策が必要となる。メンテナンス面でも、航空エンジンの保守サイクルやコストは地上設備とは異なり、運営チームに新たな課題を突きつける。しかし「電力こそ算力」という現状において、これらの欠点は一時的に許容されているようだ。
AIブームが露わにするインフラの深刻な矛盾
この現象は、AIブームの陰に潜むインフラの深層的な矛盾を映し出している。一方では、大規模モデルの学習・推論需要が爆発的に拡大し、データセンターの規模が拡大し続けている。他方、エネルギーインフラの整備には長期にわたる審査・建設・系統連系のプロセスが必要だ。テクノロジー企業が小型モジュール炉(SMR)や燃料電池などの長期的解決策に投資しているとはいえ、これらの技術は大規模な商用化にはまだ距離がある。短期的には、旧ジェットエンジンが電力不足を埋める「消防隊員」となっている。
一部のアナリストは、こうした「緊急電力」モデルは送電網の拡充と新型発電設備の供給が追いつくまで、数年間続く可能性があると指摘している。しかし環境保護団体はすでに懸念を示している。気候危機が深刻化する中、非効率で排出量の多い旧エンジンを発電に使用することは、テクノロジー企業が掲げるカーボンニュートラルの目標と真っ向から矛盾する。算力の成長とグリーンエネルギーのバランスをいかに取るかは、データセンター業界が長期的に向き合わなければならない課題となるだろう。
本記事はTechCrunchより翻訳・編集したものです。
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