『This is Fine』作者、AI企業による漫画盗用を告発

「炎上する部屋に座り込み、平然と『一切安好(This is Fine)』と呟く犬」――2013年に制作されたこのウェブ漫画は、すでにインターネット文化のアイコンとなっている。しかし、その作者であるKC Greenが先日、著作権をめぐるトラブルに巻き込まれた。AIスタートアップのArtisanが屋外広告でこの漫画のイメージを直接使用し、「人間の雇用をやめよう」というスローガンを添えていたのだ。GreenはSNSで怒りをあらわにし、「彼らは私に一言も尋ねなかった。これは私のアートが直接盗まれたということだ」と訴えた。

事件の経緯:AI広告の「This is Fine」

TechCrunch記者のAnthony Ha氏の報道によると、Artisanはサンフランシスコに本拠を置くAIスタートアップで、企業向けAIエージェントサービスを主力としている。同社は最近、シリコンバレーの中心地に一連の広告看板を掲出し、各看板には目を引く「Stop Hiring Humans(人間の雇用をやめよう)」の文字と、様々なポップカルチャー要素が組み合わされている。その中の一つに『This is Fine』漫画の象徴的なシーン――炎上する部屋に座り込む犬――が使用されているが、漫画のセリフは「すべて順調……AIエージェントがすべてを引き継ぐまでは」に書き換えられていた。Greenは、Artisanが2013年に自身が創作したオリジナルキャラクターと構図を無断で使用しており、明らかな著作権侵害に該当すると指摘した。

「もしこれが普通の企業なら、対価を払わずに私の作品を使うことなど絶対にしないはずだ。なぜAI企業ならそれが許されるのか?」——KC GreenがX(旧Twitter)に投稿

AI著作権論争:アーティストたちの反撃の波

これは単発の事例ではない。過去1年間、多数のアーティスト、写真家、作家がAI企業を相手取り、自身の作品をモデルの訓練に使用したり、侵害コンテンツを直接出力したりしているとして訴訟を起こしている。Getty ImagesによるStability AIへの訴訟は依然として進行中であり、ニューヨーク・タイムズもOpenAIとの法廷闘争を続けている。Artisanの広告事件は、この論争を「訓練データのグレーゾーン」から「商業広告における直接盗用」へと押し進めた。注目すべきは、ArtisanのCEOが「我々はAIツールを使用して類似のスタイルの画像を生成したのであり、直接複製したわけではない」と反論している点だ。しかしGreenは、画像中の犬のポーズ、椅子、炎のテクスチャがほぼ完全に一致しており、AIが何の元ネタもなく「偶然」これを生成することは不可能だと反駁している。

編集者注:AIマーケティングの傲慢と著作権の越えてはならない一線

Artisanが「人間の雇用をやめよう」というスローガンを掲げること自体、挑発的な意味合いを持っている。広告に『This is Fine』漫画を採用したのは、おそらく「AIに取って代わられても平静を装う人類」という皮肉を伝える意図だったのだろう。しかし、皮肉は他人の著作権を侵害することの上に成り立つべきではない。AI企業が一方で「人類は時代遅れ」と宣伝しながら、他方で人間アーティストの創造性に頼って注目を集めているとすれば、その論理的矛盾は唾棄すべきものだ。業界アナリストは、AIスタートアップは成長を追求する中で法的コンプライアンスを軽視しがちだが、著作権法や商標法は「AI生成」だからといって効力を失うものではないと指摘する。今回の事件は、AI広告規制を推進する新たなマイルストーンとなる可能性がある。

現在Greenは証拠を収集し、Artisanに対して侵害行為停止を求める通知書を送付する準備を進めている。法律専門家は、GreenがArtisanがAIで類似画像を生成したのではなく、自身の作品を直接複製したことを証明できれば、勝訴の見込みは非常に高いと見ている。一方、Artisanの広告看板は今なお撤去されておらず、この「This is Fine」をめぐる戦いはまだ始まったばかりである。

本記事はTechCrunchより翻訳・編集